初心者がFXでトレードを始める際に気になるのが、どこにも書かれていない手数料のこと。手数料無料の謳い文句を見たことがあるものの、本当に手数料がかからないものなのか気が掛かりになっているところだろう。実はFXには取引度にスプレッドというコストを支払わなければならない。そこでスプレッドとは何なのか、どれくらい支払わなければ行けないのか、どの様に発生するのか、いつ支払うのかの基本的な解説に加え、スプレッドが狭いFX会社を選ぶべき理由を書いていこう。
FXのスプレッドとは?
FXの取引には大体2種類あり、1つ目は株式と同じように取引度や月額で手数料を取られるタイプ、もう1つは別途手数料は無料だがスプレッドで手数料を稼ぐタイプ。くりっく365や海外FXの一部コースなどは定額性を取っているが、日本のFX会社の大半はスプレッドで手数料を取る形態である。前者はコース性や1取引度などバリエーションが豊富だが、後者のスプレッドで利益を得る会社は、手数料はスプレッドオンリーである場合が多い。
ではこのスプレッドとは一体何なのか?スプレッドは取引注文画面のBid(売り)とAsk(買い)の中間に表示されている「0.27」とか「0.30」のことであり、このスプレッドは売りと買いの差(広さ)を意味している。このスプレッドの広さ分が取引度に手数料としてFX会社に取られており、大半のFX会社の主な収益源となっている。日本の大半のFX会社がスプレッドを最狭0.27~0.30で設定しているので、注文しようとすればスプレッドの表示はすぐに見つけられるはずだ。
スプレッドは一定額ではなく割合、しかも変動する
このスプレッドの数字の後ろに単位がついてないのでわかりにくいが、この数字の単位はPIPS(ピップス)である。つまりスプレッドは固定の額ではなく、注文額の0.30PIPSをスプレッドとして頂きますよ、というポジションの大小によって変動する手数料を示している。FX会社が「スプレッド0.30銭!」と書いているのは0.30銭固定の手数料ではない。
例えばドル円で1万通貨のポジションを作ったとしよう。スプレッドは0.30だとすると徴収される手数料は30円だ。10万通貨ならば300円、20万通貨ならば600円とポジションが大きくなればなるほどスプレッドも多くなっている。つまり極小の割合で手数料を取られていることになる。
またスプレッドの和訳通り、このスプレッドは広がったりする場合がある。主に取引数減少による流動性低下が起きた際や、逆に取引が集中し変動性が激しい場合など、あくまでFX会社が看板に書いているスプレッドは最狭設定であり、原則固定はするが常時そのスプレッドというわけではない。1番動くと定期イベントである米雇用統計発表前後は広がる時が多々あるので、気づけば大きいスプレッドが取られていたなんてことがないように気をつけるべき。
いつ発生するのか?いつ支払わなければいけないのか?
最後にスプレッドに関して気になることと言えば、スプレッドはどのタイミングで発生し、いつ支払わなければいけないのか?ということだ。これは既に取引を始めている初心者ならボチボチ気づき始めるとおもうのだが、スプレッドは注文が約定された瞬間、ポジションを建てた際に発生する。そしていつ支払わなければいけないかというと、実は改めて支払うものではなく既にポジションに含まれているのだ。
ポジションを作った時、値動きしていないはずなのに含み損を抱えていることに対して不思議に思ったことはないだろうか?この最初から抱えている含み損分がスプレッドである。+◯PIPS、-◯PIPSの表示は既にスプレッドが織り込まれている数値であり、+5PIPS獲得している状態なら実際のポジションから現在値までの値動き分は5.30PIPS(スプレッド0.30計算)なのである。
なので後にかしこまって払う必要がない代わりに、スプレッド分のPIPSをFX会社に上納したハンディキャップを背負っている状態でトレードすることになり、スプレッド分の手数料はそのままトレード成績の中に内包されることになる。これがスプレッドを払っている意識を消して、手数料の重たさを感じさせない仕組みである。
軽いようで実は大きい手数料
スプレッドは割合小さくすぐに利益が乗っかってしまうと存在自体が消えてしまい、非常に軽い手数料のように見えるが数値に直すと意外に大きいことがわかる。先程の例に出した「10万通貨で300円」を再度例に使うと、10万通貨のポジションを建てる度に300円、1日に5回トレードすれば1500円、それを二十日営業日で毎度やれば月3万円もコストが発生しているのがわかる。
もし資金100万円にレバレッジを掛けて10万通貨の取引をしているのなら、3万円失うことは資金の3%を失うことであり多大な損失であることがわかる。そして月間の損益がマイナス3万円ならばぴったりスプレッド分の負け、マイナス6万円ならば損失の半分がスプレッドによるものとなる。
スプレッドが小さいFX会社が選ばれる理由
上記で説明したようにスプレッドは見えにくいだけで非常に高いコストになっているので、当然トレーダーは自身の取引環境を理想に近づけながら可能な限りスプレッドが小さいFX会社を選ぶ。トレードのスタイルによってはスプレッドよりも別の利点を優先することもあるが、短期売買が中心になるFXでは基本的にスプレッドは重視して選ばれる。
デイトレードやスイングトレードならば目につくことはあまり無いだろうが、スキャルピングなど小さいPIPSを取るトレードだとスプレッドの存在は大きく目立つのでなおさらだ。1日で考えるよりも月間で、月間で考えるよりも年間で考えれば、先程の月3万円の例なら36万円も掛かる計算になるので、たとえ0.03の違いでもスプレッドは出来る限り小さい会社を選ぶようにしよう。
利益を出す上ではコストを下げることは鉄則
投資の神様であるバフェットは、証券会社やファンドが投資家から奪うフリクションコスト(摩擦費用)が利益を薄めており、投資をしていく中でどれだけコストを下げられるかは素晴らしい成績を残す上で重要だと説いている。我々はバフェット氏の長期投資よりも何倍もトレードをするが、だからこそコストについては抑えるだけ抑えるべきであり、株式と比べて小さい値幅を取っていくスタイルには鉄則と言っても過言ではない。
スプレッドを考慮せずに1社目を選んでしまう、そんな誤ちを何も知らない初心者が起こすのは仕方の無いことだが、これから長くトレードしていくつもりがあるのなら利益の多くを蝕まれない内に、早めにスプレッドが小さい業者へと乗り換えることだ。実際に私が使用しているFX会社も業界最狭水準で、より高いスプレッドの業者へと乗り換えるつもりはない。

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